「週2日しか働けない」
「スマホの画面が見られない」
「気圧で頭痛が悪化する」
交通事故から11年。私の日常は、事故前とは大きく変わりました。易疲労性、眼精疲労、首の神経障害——これらの後遺症と向き合いながら、試行錯誤を重ねてきた11年間。
この記事では、交通事故の後遺症を抱える当事者として、今も続く症状と、それに対応するために構築してきた具体的なライフスタイルをお伝えします。同じような症状に悩む方、ご家族の方、そして加齢による眼精疲労などで困っている方にとって、何か一つでも参考になれば幸いです。
交通事故後遺症で働く|障害者トライアル雇用から4年、週2日勤務の実態
交通事故に遭ってから本当に11年ほど経ちましたが、後遺症として今も残っている症状があります。
現在の仕事は、週に2日働き、5日休むというスタイルです。正確には金曜日と月曜日の決まった曜日に出勤しています。この雇用形態になった経緯としては、就労移行支援を経て、障害者トライアル雇用を利用して就労を開始しました。トライアル雇用の期間を経て、現在はパートとして週2日働いており、この働き方を続けて4年が経ちました。
月曜日に出勤し、次の金曜日までの3日間で体を休め、金曜日に出勤したら土日でその疲れを癒やし、次の出勤に向けて体を休めることが必要です。これが、自分が無理なく働ける就労スタイルとして確立されてきました。
易疲労性とは?交通事故後遺症で疲れやすい体の対処法
スマホのバッテリーに例える易疲労性の症状
その主な原因を分かりやすく表すと、非常に疲れやすいという状態です。易疲労性という、非常に疲れやすい症状なのですが、これを例えるとスマートフォンのバッテリーに似ています。バッテリーの持ちが悪く、バッテリーが切れたら充電しないと動けません。私の体はそのようなバッテリー切れが起こりやすく、充電しないともう一度動けない体になっているのです。
易疲労性の対策|動いたら休む、充電してまた動く生活習慣
普段の生活でも仕事でも、動いたら一度休む、再充電をしてから動く、そして休むの繰り返しです。休むことは非常に重要で、例えば自宅の作業場のすぐそばに休める場所、すぐに横になれるマットレスのようなものを用意し、疲れたらすぐ休める環境を構築しています。
外出時も無駄に動かず、本当に動く必要がないところは動かずに省エネを心がけ、最小限の行動を取ります。自分のバッテリーが少ないことを自覚し、外出した場合はすぐに休める椅子などを確認しています。休める場所を常に確保しつつ、動いたら休む、常に休んでチャージしてから動くという行動をしています。
交通事故後遺症による眼精疲労・ドライアイ|スマホを見ない生活の工夫
光過敏・眼精疲労・ドライアイの症状
もう一つ大きな症状として、光に対する弱さがあります。眼精疲労やドライアイも併発していますが、特に分かりやすいのがスマートフォンの画面を見るのが辛いということです。非常にスマートフォンの画面を見ると疲れやすくなっています。
一般的にスマートフォンを使う場面、例えば電車の中、喫茶店での待ち合わせ時間、病院の待合室など、時間を潰すタイミングで今の人はほとんどスマートフォンを見ていると思いますが、私はそのタイミングではスマートフォンの画面を見ていません。
眼精疲労対策|電子ペーパー(Kindle Oasis・BOOX GO)の活用
電子ペーパーというものを使っています。電子ペーパーは非常に目に優しく、例えばKindleシリーズがよく売られています。私は昔あったKindle Oasisを今でも使っています。それがOasisが出てからだいぶ期間は空いていますが、まだ使っているという状況です。
また、BOOXというシリーズがあります。これは電子ペーパーを採用したタブレットで、私が使っているのはBOOX GOというシリーズです。AndroidタブレットのBOOXで電子書籍も見られます。Kindleの他に漫画なども、Androidタブレットならではのアプリが入れられるところで、このBOOXを好んで使っています。
一般的に周囲の方がスマートフォンを使っている環境では、私は電子ペーパーのタブレットを使って本を読みながら、耳からの情報を入れたり、周りの音をカットするという生活をしています。
交通事故後遺症による聴覚過敏|音の刺激を遮断する工夫
AirPods Proとノイズキャンセリングの活用
外出先では、iPhoneとAirPods Proという無線のノイズキャンセリングイヤホンを使っています。周りの人がスマートフォンを見ている環境で、私はノイズキャンセリングのイヤホンをつけています。
ノイズキャンセリングを効かせることがメインで、音楽を聴いたり、Podcastを聴いたり、オーディオブックなど、耳から入る情報源はいろいろありますが、まずノイズキャンセリングを効かせて周りの音を遮断します。いろいろなノイズを遮断し、時にはノイズキャンセリングの無音状態で過ごすこともあります。音楽をかける場合も、まずノイズキャンセリングを効かせてから小音量で聴くというライフスタイルになっています。
むち打ち後遺症|首の神経障害による痺れと頭痛の症状
別の症状として、首の神経障害があります。むち打ちに伴う首の神経障害は今も続いていて、具体的には左腕の小指から薬指にかけて痺れ感があります。首から上に関しては右側の頭痛があります。首を境に神経が入れ替わるというか、症状が関連していて、症状が出るところが左から右のように入れ替わります。右側の頭痛がしやすいことや耳鳴りも含めて、首から上は右側に症状が出るという状態で、これは事故当初からずっと続いている後遺症の一つです。
気圧性頭痛の対処法|頭痛ーるアプリの使い方
それに関連して、気圧の影響があります。例えば台風が来るときなど、急激な気圧変化が私の症状を悪化させやすくなっています。これを測るツールとして「頭痛ーる」というアプリがあります。気圧の変化を表示してくれて、気圧の変化が大きいときに爆弾マークが付きます。気圧の変化を表してくれる、まさに気圧の変化によって頭痛が出る人のためのアプリです。
頭痛ーるアプリの活用法|予防ではなく確認作業として使う
私の使い方は、その情報を常に見ているというわけではありません。天気予報も気圧の予報も、将来爆弾が来ますよとか、明日調子が悪くなりますよという情報を見ると気が滅入るので、予防的に予測を見ることはあまり好きではありません。
私の使い方は、何か調子が悪いぞ、もしかして気圧かなと思ったときに頭痛ーるを見て、やはり気圧かと確認する、自分が調子悪いときの確認作業のアプリとして使っています。人によっては頭痛の警報が出る前に予防として漢方を飲むという方もいるらしいのですが、私の方法としては確認作業用に使っています。
実は他のバロメーターによっても症状が起こり得ます。自分自身が風邪を引いたり体調が悪くなったりすると、それが首や頭痛の原因になります。その切り分けのために、気圧なのか風邪なのかを判断するために頭痛ーるを使っています。
交通事故後遺症とメンタルケア|ネガティブニュースとの距離の取り方
さきほどの話と関連しますが、ニュースについてです。特に昨今、ずっと戦争の話が続いていますが、戦争や交通事故などネガティブなニュース、特に体の痛みに関連するような、体の痛みを想起させるようなニュースを見ると、非常にメンタルに影響を受け、さらに首も痛くなったり症状が出てきます。本当に今、特に映像付きのニュースをあまり見ようとしないライフスタイルになっています。
情報の仕入れ方の手段として、RSSを使っています。自分に入ってくる情報をそこで制御し、逆に突発的にニュースやテレビを見て、予期せぬニュース、自分にとってダメージがあるニュースを入れないようにしています。
交通事故後遺症で最も重要なこと|症状を受容すること
このように、その他にもいろいろ過去にいろんな症状が出て、それに対する対応や検査をしてきました。その中で一番重要なことの一つとして、受容という言葉があります。症状を認めるということ、自分が普通の健康な状態の体ではなくなったということを、まず認めることがとても重要です。
そこには本当にいろんな葛藤があります。諦めなければいけないこと、できなくなったことを受け入れるということです。それをするためにも、まず検査などをして、その検査結果を自分のものとして、事実を受け入れるということ、それに対応したライフスタイル、対策を打つということです。さきほど言ったように、スマートフォンを見ないということも含めて、自分の生活を守るための試行錯誤を11年間やってきたと思っています。
おわりに
正直に言うと、この話はなかなか語りにくいものでした。思い出すと気が滅入る部分もあります。
でも、一時期は働くことすらできなかった私が、障害者トライアル雇用を経て就労を開始し、今は週2日の勤務を4年間続けられている。それは確かな前進です。多くを望まず、自分の体と向き合いながら、できる範囲で生活を組み立てていく——それが今の私のスタイルです。
最近、交通事故被害者団体の会合などに参加する中で、自分の経験を共有することの意味を考えるようになりました。今困っている方、似たような症状を抱える方にとって、私の工夫の一つでも参考になれば、それは嬉しいことです。
これからも、当事者としての現実と日常を、少しずつ発信していきたいと思います。
